人生の質(QOL Qority of Life)向上の為のワンポイント

 

ピーター・センゲへのインタビュー(3)日本の変化の担い手への助言

 

(※動画の右下にあるCCボタンを押すと日本語のキャプションが読めます。
※キャプションは画面上でドラッグすると位置を移動することができます。)

 

話し手: ピーター・センゲ(MIT上級講師・「学習する組織」【The Fifth Discipline】著者)
聞き手: 小田理一郎(チェンジ・エージェント、「学習する組織」共訳者)

 

インタビュー2011年6月下旬にアメリカ

 

4つの質問
ピーター・センゲ氏から日本の皆さんへの力強く暖かいメッセージを是非ご覧ください。

 

 

 

 

質問:
現在の日本の状況を考えると、3月に地震と津波が起き、未だ原子力発電所の事故は収束していません。
電力不足によって、産業界も日常生活も大きな影響を継続的に受けています。
同時に、変化を起こそうとしている変化の担い手や、情熱と意思をもった未来の変化の担い手もたくさんいます。
日本のこうした変化の担い手に、何か助言をいただけますか?

 

 

ピーター・センゲ:

 

そうですね。今の日本がどんな感じなのか、私には想像するのも難しいです。
世界各地の誰もが、日本に起こったことをじっと見つめていましたが、何しろ遠く離れていますからね。
でも、心にとどめておくと役に立つのではないかと思うことが2つあります。

 

 

 

 

危機というのは、突破口が生まれる大きな余地でもあります。

 

 

 

 

単に私たちが何かをせざるを得ないことで生まれる突破口がたくさんあるのです。
対応しなければならないということです。
言ってみれば、私たちは極めて習慣的に物事を進めています。
ところが突如として、いつもと違うことをしなければならないために習慣的な行動をとれなくなるのです。

 

 

 

実は、 まさにそこで起こる小さな認識の転換があります。
その認識は習慣を貫くものですからね。
習慣は私たちの生活を決定するものです。
思考の習慣、行動の習慣、人とのつきあい方の習慣といったようにね。
そして突然、何かが起こって、習慣が止められます。そうすると、そこには突破口が生じます。
そして、その突破口にどう対処するかがとても重要だと思うのです。
なぜなら、私たちが問題に対応し始めると、その突破口はあっという間に閉じてしまうからです。
それでももちろん私たちは対応をしなければならないわけです。

 

 

 

突破口は恐れによっても閉じるし、怒りによっても、制御不能によっても閉じる可能性があります。

 

とりわけ現代の生活では、すべてのものがひじょうに秩序立っているので、私たちは現代の制御できる社会だと幻想を抱きます。
朝目が覚めてから、今日食べるものを手に入れるためにはどうすればよいか考えるような生活とは違いますね。
すべてが秩序立っていて、それでこの制御の幻想が生まれるのだと思います。

 

 

 

 

その流れに沿っていて、

 

産業化時代の大きな底流となっていたのは、

 

支配―もちろん―自然に対する支配――だと思います。

 

私たちは自分たちの都合のよいように自然を形づくるのですが、ある日突然、何かがドーンと起こって、
自然が立ちはだかり、「ちがいます。あなたがたはまちがっている。あなたがたが自然を形づくるのではありません。
自然の一部として生きなさい」と言うのです

 

 

 

 

 

つまり、思うに、世界のすべての人たちにとって何がここでの大きな突破口かというと、
自然の一部として生きるとはどういうことを意味するのか、
そして共に自然の一部として生きるというのはどういうことか、ではないでしょうか。
それは何も危機のさなかにあるときだけとは限らないですね。
いわばこの目覚め――この突如として訪れる目覚め――のようなものです。

 

もし私たちが常に自然に配慮するようになったらどうなるのでしょう。
自然の一部となるというのは
――つまり私たちは単に一つの種、一つの生き物にすぎないのであって、特別ではないということですが――
それは、どんな感じなのでしょうか。
それが実践できたとき、それまでとは大きく異なる、関係性の余地が開かれるのだと思います。

 

 

 

危機がもたらすもうひとつの作用は、
自分たちがいかに互いに依存し合っているかを人々に気づかせることです。
結局のところ、文明とは関係性にほかならないわけで、
文明というのは、共通の目的と、相互に依存し合っているという共通の意識をもって協力する人々のことです。
あなたの幸せと私の幸せは実はつながっているのです。

 

 

 

 

 

 

ですから私は、このようなことから得られる2つの大きな学びは、

 

ひとつは自然の一部であること、

 

もうひとつは、私たちは自然の一部であるからこそ、成長できる本当の「私たち」が存在するということです。

 

 

 

 

 

悲劇は痛ましいことですが、その中には常にこうしたかすかな光があります
。そしてその光とは、人生のはかなさに敬意を払い、より大きな世界の中で私たちがもつ関係性に敬意を払うことです。

 

多くの精神的伝統では、死はいつも左肩越しにある、と言われています。
死は常にすぐそこにあるけれども私たちはそれを気にも留めません。
これは縁起の悪い話でも何でもありません。

 

 

 

目を覚まさせてくれ、共に気づきを得させてくれるものです。
日本の皆さんの身に起こったような悲劇を経験した場合、それはもう個人の悲劇ではなく、集団的な悲劇です。

 

 

ですから集団的な覚醒が起こるのです。

 

 

 

見えないけれどもいつもそこにある真の問題は、私たちがどのように進んでいきたいのかということだと思います。
私たちは互いにどのような質の関係をもちたいと思っているのでしょうか。
集団的な悲劇の瞬間に呼びさまされたものですが、継続的に存在していくことが可能な関係とはどんなものでしょうか。
私たちは、真にそれを選択しなければなりませんし、真に手を取り合って生き、真に支え合っていかなければなりません。
いま日本の皆さんが感じている支え合いを、なぜ私たちは日常的に経験していないのでしょうか。
私たちはもっとよい選択をしなければなりません。

 

 

 

 

◆ピーター・センゲの紹介

 

マサチューセッツ工科大学の上級講師です。
著書である『The Fifth Discipline: the Art and Practice of the Learning Organization』
(『学習する組織―システム思考で未来を創造する』、英治出版2011年)は、
ハーバード・ビジネス・レビュー誌より、-過-去75年間における最も優れた経営書の1つであると評価されました。

 

Business Strategy(1999年9月/10月号)では、センゲ博士を、
「この100年の間に、ビジネス戦略上の最も大きな影響を与えた24人の1人」であると述べています。

 

(紹介文:SoLジャパンホームページより)

 

【学習する組織】
ピーター・センゲへのインタビュー より
http://change-agent.jp/news/archives/000460.html

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