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解説|ウォールストリートを占拠せよ!

ウォールストリートを占拠せよ@アメリカの失業と格差がAJER

 

【藤井厳喜】ウォールストリートを占拠せよ@アメリカの失業と格差がAJER

 

《ウォールストリートを占拠せよ@アメリカの失業と格差が生み出した抗議運動》
藤井厳喜(政治学者) 2011年10月6日出演@

 

 世界の金融の中心地、NYのウォールストリートで、「Occupy Wall Street :ウォールストリートを占拠せよ」という抗議運動が9月17日から開始された。
これは一体、どのような社会運動なのだろうか。
カレ・ラースンというカナダ人ジャーナリストの呼びかけで始まったこの運動は、全米各-地へ波及し、大きな社会的衝撃を与えています。
 「Occupy Wall Street」は、自然発生的な社会抗議運動で、その攻撃対象は、大銀行、大企業そし-てアメリカ政府です。
彼らの主張は多岐に及ぶが、主に次の3点に絞られると言ってよいだろう。

 

第1は、大量失業を前提に、雇用を増やせ、という要求である。
第2は、金融バブルを起こし、崩壊させ、アメリカの勤労者を苦しめている大銀行を規制-せよ、という要求である。
第3に、貧富の格差が極端に拡大しつつあるアメリカにおいて、貧富の格差を是正せよ、-という要求である。

 

 アメリカ時間10月5日現在、ズコッティー公園を中心とする「Occupy Wall Street運動」には、2万人以上が参加しており、更に全米56都市にまで、この運-動が波及し、同様の運動が展開されている。
 Occupy Wall Streetは、きわめて自然発生的な大衆運動であるが、その発生と拡大を支えている-のは、以下のような背景である。

 

@ 大量失業時代 A オバマ大統領への失望B 社会格差の拡大 : 共和党政権ばかりではなく、既にクリントン政権の時代から大企業優遇、勤労大衆切り捨-ての経済政策が取られてきた。

 

好況の時には目立たなかった社会格差の拡大が不況期になり、誰の目にも明らかになって-きている。

 

C FacebookなどのSNSの普及と利用。

 

一方、イギリス暴動への反省もOccupy Wall Streetでは活かされている。
最近、起きたイギリス暴動では、大衆の欲求不満が社会にインパクトを与える抗議運動と-はならずに、単なる「暴動」として勃発してしまった。(参考:英国暴動については20-11年8月11日収録の映像を
 http://youtu.be/kxP_PIrvTpk )

 

自発的ではあるが、非暴力的で、より多くの人々の同感を呼ぶような大衆運動をOccu-py Wall Streetは目指している。

 

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【藤井厳喜】ウォールストリートを占拠せよAキーワード我々は99%だAJER

 

《ウォールストリートを占拠せよAキーワードは「我々は99%だ」》
藤井厳喜(政治学者) 2011年10月6日出演A
Occupy Wall Street運動のキーワードは、「We are the 99%(我々が99%だ)」というものです。
1%の富裕層が富を独占し、99%の国民が苦しんでいるというメッセージです。
実際、所得においては、アメリカ社会の富裕層上位1%の人々が、所得全体の20%超を手にしています。
又、資産においては、上位10%の人々が、アメリカの全資産の90%を保有しています。
更にOECDが今年2011年に行った調査によれば、現在のアメリカにおいては、6人に1人が貧困層です。
貧富の格差は、先進国の中においても、特に顕著なものになっています。
 Occupy Wall Street を単なる底辺の失業者達の運動であると見るのは、明らかに誤りです。
今回の運動は、若年層を中心に行われていますが、4年生大学の卒業者は勿論、MBAや弁護士資格を持った者、更にIT技術者などもこの運動に参加しています。
このようなプロフェッショナル階級にも失業は確実に拡がっており、アメリカではMBAや弁護士資格を持ったホームレスも必ずしも珍しくはありません。
技術を持ち、勤労意欲も旺盛な人々が、雇用にありつけないというのが、現在のアメリカの問題点なのです。
 Occupy Wall Street は、未組織の大衆から生まれた自発的な抗議運動ですが、明らかにアメリカの左派=リベラル派からの現状に対する異議申し立て運動です。
アメリカ社会の貧困化と格差拡大に直面して、右派=保守派からはTeaParty運動が生まれてきました。
アメリカは、自由経済・市場経済のメッカであるように、世界から受け取られ、アメリカ人も度々そのように主張していますが、現実は全くそうではありません。
政府は大企業、大銀行に対して、著しい優遇策を取っています。

 リーマンショックに際し、FRBや連邦政府が大量の資本投入で大銀行を助けただけではありません。
様々な補助金や減税措置等により、大企業は著しく優遇されています。
この大企業の特権を「コーポラティズム(大企業主義)」と呼んでいます。
今日のアメリカにおいては、Corporatism、大企業優遇政策、富裕層優遇政策に対する草の根大衆の反撃が、2つの形で惹起してきている。それは右派のTeaParty運動であり、左派のOccupy Wall Street運動に代表されるのです。
 この運動の有名人支持者に、映画監督のマイケル・ムーア氏や、ノーベル賞エコノミストのジョセフ・スティグリッツ教授や、投資家のジョージ・ソロス氏の名前が見えます。
Joseph Stiglitz教授は、この運動の現場に現れ、スピーチを行っています。(http://youtu.be/2TF8L2DWhpw )
 この運動を生み出した最も大きな、そして直接的な原因は、高い失業率、特に25歳未満の若年失業率です。
2011年夏の時点での各国の若年(25歳未満)の失業率をみると、アメリカでは17.7%、ギリシャでは42.9%、スペインでは46.2%となっています。
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【藤井厳喜】ウォールストリートを占拠せよBクリントン時代、・・AJER

 

《ウォールストリートを占拠せよBクリントン時代、米民主党を乗っ取ったウォールストリート》
藤井厳喜(政治学者) 2011年10月6日出演B
Occupy Wall Streetのような運動が起きてくる政治的背景としては、アメリカの左派、リベラル、民主党支持者がオバマ政権に絶望したという事が大きな要素になっています。
既に、クリントン時代に民主党は、ウォールストリートによって乗っ取られていたのです。
ある意味で、オバマ大統領は、クリントン大統領の路線を踏襲しているだけなのです。
 クリントン以前のアメリカ政治においては、保守政党である共和党が、ウォールストリートを優遇するのに対して、リベラル政党である民主党は、ウォールストリートを規制し、勤労大衆の利益を守る立場に立つ傾向にありました。
しかし、クリントン政権においては、ウォールストリート優遇策がその経済政策の中心になってしまったのです。
ウォールストリートを優遇し、ITバブルで株価が上昇すれば、庶民もまたその恩恵に被る事が出来たので、クリントン政権時代は、このウォールストリート優遇策は寧ろ賢明な経済政策として、エコノミストからも国民からも高く評価されていたのです。
 このウォールストリートによる民主党乗っ取りを象徴する人物が、1995年から99年まで財務長官を務めたロバート・ルービンです。
ルービンは、ゴールドマンサックスの元会長であり、ここからクリントン政権に参加し、ダウ平均が5000ドルから10000ドル超に倍増するアメリカ株の黄金時代を創り上げました。
ウォールストリートの哲学は、民主党経済政策の哲学とイコールになってしまったのでした。
 1980年に米大統領に当選したレーガンは、規制緩和を大胆に推し進めましたが、確かにこの時代には政府の規制によってがんじがらめになっていたビジネス界を規制緩和で活性化する事には大きな意味がありました。
しかし、それが行き過ぎて金融バブルを発生させてしまったのがクリントン時代だったのです。
クリントンの後のブッシュ・ジュニア時代は、ITバブルが崩壊した後に発生した住宅バブルの波に乗り、表面上は好調な経済を維持しました。
しかし、このバブル経済の無理が現実の壁に衝突したのが2008年9月のリーマンショックでした。(詳しくは『どんと来い!大恐慌』参照: http://youtu.be/Znz1Cg00ji0 )
今後の経済の見通しは、現実的には極めて暗いものです。

 2011年10月6日付の日本経済新聞においては、ノーベル賞エコノミストのポール・クルーグマン教授が「世界景気後退の確率は50%以上である」「ギリシャのディフォールトは避けられない」と明言しています。
世界が同時恐慌の時代に入った事は、私の『超大恐慌の時代』でいち早く予測した事です。
 Occupy Wall Street運動を日本人の視点から見てみましょう。
この運動は明らかに日本の国益にプラスの作用を果たしています。
この運動の参加者は明言してはいませんが、その反大企業主義の立場からして、彼らがTPPに反対であるのは明らかです。
日本の国益を大きく損なうTPPに反対しているこの運動は、日本の国益にかなっています。
私はかねてからTPPをつぶす為には「アメリカの草の根の人達」と協力するべきである、と訴えてきました。
今や、日本の反TPP運動のパートナーとなる人々が、アメリカの左派から生まれてきた事になります。
アメリカの右派のティーパーティー運動は、もとより明確にTPPに反対していますから、日本の国益派は、アメリカのこの左右の草の根運動と手を携えてゆけば、それは極めて賢い政治戦略となるでしょう。
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